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【鹿角人をつなぐリレー取材No,5】豊田忠信さん/それぞれの仕事がつながる面白さ!【前編】

2019.09.09

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こちらの記事は、リレー形式で鹿角に住む「ひと」をつなぐ企画の第五弾です。
前回の安保朗さんからご紹介いただいたのは、豊田忠信(とよたただのぶ)さん。

豊田さんは農業、梱包資材販売、そして、卓球クラブの運営をされています。
たくさんの軸を持っておられる豊田さん。

大阪から故郷に帰ってきてからの苦悩や、
農業と資材販売の仕事がうまく繋がった現在までのお話、
そして子どもから大人まで集まる卓球クラブ「くらすた」について伺いました。

前後編にわけてお届けする今回のリレー記事。
まずは前編です。

農家である実家を離れ大阪へ

鹿角の小平地区にある豊田さんのご実家は、酪農、りんご、稲作を行う農家。

「農業短大で勉強をして実家に戻ってきたんですが、
家業を継ぐためには、このままだとダメだなと……」

豊田忠信さん

短大を出て実家に帰ってきたものの、このまま家の農業を継ぐか悩んでいたそう。
そんなときに知り合いだった大阪の方に仕事に誘われ、思い切って大阪へ行くことに。

大阪での仕事は、お弁当容器やトレーなどの食品包装資材を扱う会社でした。
秋田とは全く違う環境の中、そこには8年ほど勤めていたそうです。

「大阪は刺激的で人がすごくて……(笑)

帰ってくるのもどうかなと思っていましたが、
同級生だった朗(前回取材の安保朗さん)が大阪に遊びに来たときに、
『帰ってきたらいいっしゃー!』なんて言われて。

魚を捌けるようになっていたので、魚を売る行商でもやろうかなと考えて
鹿角に帰ってきました。」

なんと、豊田さんはふぐの調理免許も持っているとのこと!

大阪で培った商売のノウハウを基に、
行商という自分で売り歩くスタイルで仕事をしようと考えたそうです。

しかし、実家に帰ったあとすぐ、そうは言っていられないことが……。

鹿角に戻り農業と包装資材販売をすることに

「帰ってきてすぐ、親父に癌が見つかって……。
いきなり余命半年だと言われたんです。

そうなると、自分も農業をやらないといけなくなり、
魚を触っている場合じゃなくなって。

おふくろがりんご、弟が酪農をやっていたので、
自分は田んぼを主にやることに。

そして、大阪での仕事だった包装資材の販売なら腐るものではないから、
百姓と一緒にできるんじゃないかと思いやることにしました。」

お父様のご病気をきっかけに、
あらためて農業の道へと進んだ豊田さん。

加えて、包装資材の販売は車で届ける形での販売方法に。

ですが、はじめの頃は農業もうまくいかなかったそうです。

農業1年目の失敗をきっかけに自分で販路を拡大

豊田忠信さん

「次の年から急に自分が田んぼをやることになったんですが、
売り方も良くわからずに、とりあえず親父と同じように農協に出したんです。

そのころは米の値段がすごく安かった。
そのうえ二等米と言われてしまって。

『なんで二等米なんだ?』と納得がいかなかった。

1年頑張って一生懸命作ったのに、
手元に残ったのは生活できないくらいのわずかな額で……。

もうこのままだとダメだな、と思った。
やってる意味がない。」

これをきっかけに次の年からは農協に出すのを止め、
自分で販路を作ることに。

大阪などの知り合いにどんどんお米を送り実際に食べてもらって……という、
かなり地道な営業方法で販路を広げていきました。

美味しいお米をつくるために、
大きい農家さんでお手伝いをしながら勉強させてもらったそう。

「仕事はなんでもやって覚えさせてもらいました。
でも、その方も歳をとって跡継ぎもいなくて、自分が跡を継ぐことを託されました。
設備もそのまま借りられることに。

こんな風に、農家をやりたいと思っている人と
跡継ぎがいなくて困っている人とがうまく繋がれたらいいと思っています。
両方が手を組んで、うまくスライドできたらいいですよね。

大きい設備があるのに跡継ぎがいないせいでやらなくなるのは
すごくもったいないこと。」

地道な営業の結果もあり、
作ったお米をたくさんの方に食べていただけるようになったそう。

「『美味しかったよ!』とか、『今年はいまいちだな~』とか、
実際の消費者の声を聞けるということがすごくいい!

そういうことを思いながら食べてもらえてるのが嬉しい。
じゃあ今年はこうしよう、もっといいものを作らないと、
ちゃんと管理しないと、って。
気が引き締まる。

その年の相場でしか買ってくれないところではなく、自分で販路をつくるのがいい。
作るだけではなく、売ることまで一緒に考えないとダメだなと。

そういうところは大阪時代のことが活きている。

待ってたらダメ。
自分から行こう!と昔から思っていて。」

包装資材の販売が農業の仕事と繋がった!

もう一つの仕事である包装資材の販売も自分で地道に販路を広げていったそう。
見せていただいた倉庫にはたくさんのトレーや包装資材がありました。

豊田忠信さん

電話で注文を受けて、車で配達をします。

「車がお店っていう状態です!」

豊田忠信さん

各方面の市日に顔を出したりして、お客さんを増やしてきたそうです。
農業の知り合いつながりで広がることも多いそう。

「大阪時代は資材の売り先はスーパーなどのお店がメインでした。
けれども、こっちは狭いし人口も少ないから、お店も少ない。

そうすると、個人の農家さんのほうが強いんですよ。
忙しい農家さんが
『手が回らないので、電話1本で持ってきてくれるとすごくありがたい』
と言ってくれたんですよね。

今の時期は花のフラワーキャップだったり、冬場はほうれん草の袋とか。
ここでは農家の方がメインです。

自分が田植えと稲刈りの時には対応が遅くなるんですが、
相手も農家さんなので『いい、わかってるよ』って言ってくれる。

ここの地域性に合った仕事ができているんじゃないかと思っています。」

農業と包装資材のつながりはこんなところにも。

地元のお店に容器を販売しに行ったとき、お米を作っていることを話したら
一緒にお米も買っていただけるようになったそうです!

豊田さんの2つの仕事がうまくマッチしたのです。
それぞれの仕事がうまい具合に繋がっていて、すごく面白い。

これからも自分のお米を食べてくれるお客様に、
確実に届けることができるように作っていきたい!
とのこと。

豊田忠信さん

このように農業と包装資材販売を軌道に乗せてきた豊田さん。
そんな豊田さんのもう一つの顔『くらすた』運営については
後編でご紹介します!
乞うご期待!

豊田さんが運営されている卓球クラブ【くらすた】の情報はこちら!

【くらすた】
http://clusta.net/
開催日
毎週水曜、木曜(19時~21時)
毎週土曜(14時~17時)

【この記事を書いたライター】

スコップ編集部

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