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郷土の味「けいらん」を残したい!田中さんの熱い思いが伝える鹿角の伝統料理
2019.12.17
鹿角の郷土料理である「けいらん」、残念ながら食べる機会は減っています。
お祝いや仏事でも出されることが少なくなっているそう。
私も10年ほど前に食べたのが最後でした……。
今回は、鹿角市で唯一けいらんを気軽にいただけるお店、
「けいらん田中屋」さんで、「けいらん」をいただいてきました。
田中屋さんがけいらんを始めるきっかけになった驚きのエピソードも伺いましたよ~!
まずは「けいらん」をおさらい
けいらんとは……
餡とクルミと胡椒を白玉の皮で包み、澄まし汁を注いだお吸い物です。
形が鶏の卵に似ているところから「けいらん」と呼ばれています。
鹿角では室町時代から伝承され、祝いの席や仏事などで出される特別な精進料理です。
田中屋さんのけいらんをいただきまーす♪
今回は田中屋さんの喫茶店側のほうにお邪魔しました。
店内はピアノがあったりしてオシャレな雰囲気。
突然の取材依頼にも喜んで対応してくださいました!
ありがとうございます。
けいらんの登場です!
透明で澄み切っている、曇りのないすまし汁。
普通は椎茸や昆布の出汁ですが、田中屋さんでは舞茸で出汁をとっているそう。
舞茸の旨みだけをのせたような上品な味で塩気はほんのり。
そこにけいらんが2つ。
もっちもち。
つきたてのお餅のようにフワフワです。
白玉粉というと、弾力があって固めのイメージですが、これは別。
田中屋さんで使用している粉は特別こだわって仕入れている粉で、
その粉でないと、このけいらんのモチモチ感にはならないそう。
市販の白玉粉にはジャガイモのでんぷんも含まれているために
どうしても固さが出てしまうそうです。
中にはあんこと大きめのくるみ。
出汁の美味しさと餡の甘さが合うーーー!
そして、あとから少し感じる胡椒の辛さ。
生地に出汁が絡んだ旨みと、餅とあんこの甘さがダブルで味わえます。
ジュワーっと広がる美味しさです。
胡椒のアクセントがクセになる。
上品で、それでいて満足感のある味わいです。
昔、けいらんが今よりも食べられていた頃、
けいらんはもう一回り大きかったんだそう。
それを覚えている世代の方たちは
「もっと大きくして、いっぱい入れて!」と
リクエストされるそうですよ。
私も美味しくてもっと食べたかったです!
10個くらい入っててもペロリと食べちゃいそう。
お餅好きにはたまらないです。
あ~美味しかったあ~
けいらんは南部藩のお料理
けいらんはもともと南部藩に伝わる特別な席のもの。
鹿角が昔、南部藩だったことを物語るお料理です。
今現在、他の南部地域にもけいらんは伝承されていて、
青森の七戸にもけいらんが食べれる場所があるんです。
興味を持った店主の田中さんは、
予約までしてお友達と七戸に食べに行ってみたそうですよ。
そこでいただいたけいらんは、鹿角のものとは違う味だったそう。
地域に根付いてその地域特有の味になっているんですね。
鹿角のけいらんも然り。
南部藩のもの、とはいっても、
鹿角のけいらんは、鹿角でしか食べられない味なんです。
「けいらん」を始めたきっかけはヨーロッパ!?
田中さんがけいらんを提供し始めたきっかけは、
実は、数十年前に行ったヨーロッパなんだそう!
40歳の頃、ふとしたきっかけでヨーロッパへ研修に行く機会に恵まれ、
これもなにかのチャンス!と思って参加されました。
ヨーロッパ諸国をさまざまめぐり、その中で大きな気づきを得られたそう。
自分たち独自の文化と歴史を大切にして、歴史を売っているヨーロッパの国々。
新しいものを追い続ける日本の在り方との違いをまざまざと見せつけられて、
とても驚いたそうです。
古いものを大切にする生き方を見て、
自分のふるさとにもこの精神が必要だ!と、そのとき気づいたそう。
帰国して、すぐに直感で浮かんだのが、
特別な席で出されていた、郷土料理の「けいらん」でした。
そこからはもう、けいらんのことしか考えられないくらい夢中に。
田中さんのけいらんとの歩みがここから始まりました。
まさかヨーロッパがきっかけだなんて驚きました!!
有名人にも愛されるけいらん田中屋さん
田中屋さんではお店がふたつに分かれており
前側が喫茶、奥がお座敷になっています。
喫茶店側はオシャレな音楽が流れてきそうな雰囲気。
喫茶店ではけいらんのお椀をいつでも提供しているそうです。
ただし、けいらん定食は予約制なので、ちょっと特別な時にいただきたいですね。
奥のお座敷側は、掘りごたつになっているテーブルもあり、快適に会食を楽しめます。
入口は、テレビでよく見る有名人のサインや写真がいっぱいで驚きですよ!え?この人も来たの?!この人も?!
奥には田中さんが大切にされている書も飾られています。
また、田中屋の味のけいらんをご自宅でもいただけるセットも販売しています。
なんとスープも自家製のもの!
そのままの上品な味わいがご自宅でいただける贅沢セットです!
全てセットなので贈り物にも喜ばれます。
年末はきりたんぽのセットの方がよく出るそうですが、けいらんもオススメ。
鹿角の歴史と田中さんの郷土愛の味「けいらん」
ヨーロッパ研修での体験を機に、
鹿角の郷土料理を大切にすることに全てを捧げてきた田中さん。
温故知新。
そこに気づけたことが自分の人生を変えたと仰っていました。
1歩外に踏み出して、違う景色を見たときに、
やっと本当に大切なものが見えてくるのかもしれません。
けいらんの裏にこんな面白いストーリーがあることを知り、
これまで以上にけいらんが味わい深くなりそうです!
けいらんを久しく食べていない方も、これまで食べたことがない方も、
鹿角を知るなら田中屋さんのけいらんは抑えておくべき逸品ですよ。
けいらん田中屋
秋田県鹿角市花輪上花輪170-2
【営業時間】11:00~22:00 不定休
【電話番号】0186-23-2255
【この記事を書いたライター】
スコップ編集部
鹿角の魅力的な情報を掘り起こしていきます!
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