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町中を巻き込む!花輪図書館&十和田図書館

2019.01.25

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図書館というと、「本と人をつなぐ場所」というイメージが強い。でもここ、秋田県鹿角市にある花輪図書館は「本と人、人と人をつなぐ場所」。

「人と人をつなぐ図書館?」と疑問に思ったら、まずはこちらの画像をみてほしい。

鹿角市 図書館

おどろくなかれ、これらはすべて、図書館職員のアイディアによるイベントの手作りチラシだ。図書館なのに、料理。図書館なのに、落語。図書館なのに、野菜づくり講座。取材開始と同時に「図書館の概念」が崩されてしまった。

鹿角市 図書館
(花輪図書館は、2015年に設立されたばかりの交流施設「コモッセ」2階:画像は鹿角市花輪市民センターHPより引用)

いったい、まだ新しいこの図書館にはどんな人がいるんだろう?どうして静かな図書館に、こんなにパワーが溢れているんだろう?と、興味津々でまずお話を伺ったのは館長の小林 光代(こばやし みつよ)さん。

鹿角市 図書館

「指定管理図書館としての指命は崩さないように、でも私たちなりのオリジナリティを持ちたいと思ってるんです。本を貸すだけの場ではない。図書館という場、本という媒体を使って、その先にある人とつながっていく、という感じですね」

たとえば子どものころ、「図書館はどこか窮屈な場所」というイメージがあったし、大人になった今だって、なんとなくそう感じてしまう。

が、花輪図書館は、子どもが笑っていられる空間・大人が静かに本を読める空間を’みんなで’創っているのだ。

「ここの図書館は、ワンフロアしかありません。大きな図書館なら、フロアごとにニーズを合わせることができますが、ワンフロアではそうはいかないですよね。’曜日図書館’を作り、静かに本を読む日、音を出して楽しむ日、など、それぞれが譲りあう環境で成り立っているんです」

本を読む場所としての図書館でありながらも、人間同士の思いやりが作られる場所にしたいという館長さんの願いが、しっかりと形になっている。

鹿角市 図書館

花輪図書館では、月に一度のペースで開催されるイベント、2~3週間に一度内容を変える展示コーナーを職員さんのアイディアで企画・実行している。

「お金がないから、アイディア勝負(笑)」と話す館長さんのとなりで、業務責任者である佐藤 郁(さとう いく)さん(写真右)も、楽しそうに職場としての花輪図書館を語ってくれた。

「館長がダメって言うことはほぼありません。’やったら?’って返ってくるので、自分で言ったあとに’あ、しまった…’と思うこともあります(笑)」(佐藤さん)

館長さんは、決してなんでもかんでもOKしているわけではない。

「路線から外れてしまっていれば、反対もします。でも利用者目線で面白そうと思えば、やってもらいたいし、実際にそういうアイディアが出てくることが多いんです」(小林館長)

本の整理など通常業務に加えてのイベント企画はもちろん大変。人が集まるか、喜んでもらえるかという不安もいっぱい。それでも、「お客さまからのダイレクトな声が励みになります」と、佐藤さんの表情は生き生きそのもの。

鹿角市 図書館

取材時の展示は、2019年1月公開、鹿角ロケが話題の映画「デイアンドナイト」公開記念展示。映画メニュー&ロケ隊炊き出しメニューの食品サンプルも手作りして、地元の盛り上げをサポート。(こちらは、1/25(金)まで開催。キャストのオススメ図書紹介展示もあるので要チェック!)

本のリサイクル(BOOK FOR YOU)では、本にひとこと添えて、包装紙で包むひと手間をくわえる。大がかりなイベントでは1年に三度開催される「よるとしょ」が人気。閉館時間を延長した夜の図書館で、BGMや珈琲と一緒に、ふだんとは違う雰囲気を楽しめる。昨年は地元で活躍している方たち参加の「大人のビブリオバトル」がおこなわれた。

さらには文学小説のなかに出てくる食べ物を作り、朗読を聴きながら食べるイベントも。高校生を対象としたイベント「としょカフェ」では、年代の近い大人をゲストに’将来’や’進路’といった悩みに寄り添い、仕事の紹介本も並べる。(もう本当に、書ききれないけど、ぜんぶ書き出したいくらい面白い企画だらけ!)

鹿角市 図書館

「(アイディアが出たときに)できない理由を先に出すのではなく、実現できる方向で知恵を出し合うんです。お客さまのニーズも、希望通りとはいかなくても近い形ならできるかもしれないですから。知恵とアイディア、人の気持ち、それから人の力を借りるんです(笑)」(小林館長)

イベントをひとつのツールとして、図書館や本と人とのつながりを作ること。そのためにイベントの先にいる人物像を描きながら企画し、時間をかけて実行していく。それが花輪図書館のスタイルだ。

それを知れば知るほど、その企画力に驚くと同時に、自分も巻き込まれてみたくなってしまった。

鹿角市 図書館
「PRがなかなか届かない」と館長さんは嘆いていたけど、その功績はしっかりと表彰もされている。

鹿角市 図書館
明るくてきれいな図書館内には、至るところに館長や職員さんのアイディアが溢れている。

鹿角市 図書館
たくさんの方が本を気軽に楽しめるよう、きめ細かい工夫も。

鹿角市 図書館
花輪図書館のキャラクター「はなわんこ」・十和田図書館のキャラクター「トワダック」も、職員さんがデザイン。

鹿角市 図書館
なんとLINEスタンプまで、好評発売中!

鹿角市 図書館
商店街とのコラボ企画も。昨年は地元酒店とのコラボで日本酒「としょかんこでらいね」(こでらいね=最高だよね)も限定商品として作った。※現在は販売していません※

こうして、図書館の利用者だけではなく、商店街や町の人をどんどん巻き込んでいく花輪図書館。

「自分たちの町の図書館ですから、マナーも含めて自分たちで作っていけるのが理想。町おこしとまではいきませんが、図書館の情報発信で地域に新たな風がふけば、と思います」(小林館長)

自分たちが楽しみ、いつの間にかみんなが巻き込まれている、むしろこれこそが超理想的な町おこしの姿なのでは?

十和田図書館と花輪図書館

鹿角市 図書館

鹿角市には、もうひとつ図書館がある。

花輪図書館がある国道を青森方向へひたすらまっすぐに進み、車で約15分。同じく国道の左側に位置する「十和田図書館」だ。花輪図書館との大きな違いは、歴史。十和田図書館は、昭和33年に建設された十和田町役場を活用している。

鹿角市 図書館
(十和田図書館のなかに入ると、螺旋階段が迎えてくれる。映画のワンシーンのような雰囲気)

取材の日、たまたま十和田図書館の業務責任者である佐藤 香織(さとう かおり)さんが花輪図書館に研修として来ていた。スキルアップのためにも、花輪・十和田の職員さんをシャッフルしているとのこと。

十和田図書館では、二階をギャラリーとして活用し、市民の発表の場にしたり、ふるさとの魅力発見ウォーキング行事がおこなわれたりしている。

鹿角市 図書館
(取材時の展示の様子)

カラーの違いはあれど、花輪図書館も十和田図書館も、どちらもアクティブ。

そうそう、取材中、会話の合間にさりげなく「よかったら今度、イベントに参加してくださいな」「なにか展示してみませんか?」という館長さんのお誘いがあって、’巻き込み力’を実感。

(だって、私には何もすごいスキルや経験など無いのに!でもあとから考えてみたら、きっと、そういうことで人の可能性を決めつけない方なんだろう)

…と、話を戻そう。

「今風な花輪図書館は明るいし、コンビニ的に利用できますが、どこにでもある図書館になってしまいがち。だからこそオリジナリティを重視しています。対して十和田図書館は、レトロな感じが売りなんです」(小林館長)

’レトロな感じ’を利用して、おばけ屋敷企画を実行したときには、本気で怖がる人もいたほど。

「このレトロな雰囲気は、都会から来た人のほうが感動しているんです。地元にずっといる人にとってはこんな古いところ…ですが、螺旋階段や天井の手作りシャンデリアなどは財産になります」(小林館長)

鹿角市 図書館

それぞれが独立した図書館として、その違いが魅力になるように、館長さんも職員さんも図書館から発信を続ける。

「本を読むだけの場所じゃない、展示も含めて、秋田市などからもお客さまが来ることがあります。地元密着型だけど、ぜひ観光でくるお客さまにも、発信していきたいと思います」(香織さん)

十和田図書館の蔵書は小説が多く、みどりの文庫(植物関係)などおもしろいコレクションも並べられている。参考図書など調べ学習に強いのは花輪図書館。地元の人なら、それほど遠い距離でもないので、すぐにどちらかを案内できるのもメリット。

鹿角市 図書館
「みどりの文庫」では葉っぱなどの実物標本も見ることができる。

鹿角市 図書館
昔、本の貸出に使われていたカードも残っている。

これだけ異なる魅力をもったふたつの図書館は、鹿角の観光資源として、もっともっとアピールしていくべき存在だ。

全国的にも希少!しあわせを運ぶ黄色い移動図書館車

鹿角市 図書館

最後にもうひとつ、花輪図書館・十和田図書館を紹介するうえで忘れられない存在が、「移動図書館車」。

黄色いワゴンは町中で見かけることも多く、地元にしっかりと根付いている文化のひとつ。

「移動図書館車の数は、全国的に少なくなってきていますよね。震災のときには岩手で活躍したことがあったけど、今は少ないんです。山間部が多い地方は、よく走っていますよ」(小林館長)

十和田図書館の駐車場でおこなわれているラジオ体操の時間に移動図書館車を稼働させた「あさとしょ」を取り入れたら、ふだんよりもラジオ体操の参加者が多かったそう。

「クリスマスには移動図書館車のドライバーがサンタクロースになって、そうすると子どもさん方はとっても喜びます。笑顔・元気・健康でいながら毎日続けるのは難しいけれど、そういったことで元気をもらえて、’しあわせを運んでいる’と感じられる。それがモチベーションになっているのかなと思いますね」(小林館長)

十和田図書館と花輪図書館を毎日行き来しながら、福祉施設や小学校など、鹿角市内34か所を回っている移動図書館車は子どもにも大人にも、人気者だ。

鹿角市 図書館
移動図書館車のドライバー、工藤 稔昭(くどう としあき)さん。

鹿角市 図書館
移動図書館車に乗せる本は、工藤さんが選ぶ。

「利用者さんと話しているうちに、どんな本が好みか分かるようになります」と工藤さん。山間部にも移動図書館車ステーションがあり、雪道では大変なこともある。

「楽しみに待っていてくれる人がいます。喜んでくれる顔が見れるから、やりがいを感じますよね」(工藤さん)

敷居の高くない鹿角市立図書館に、どんどん巻き込まれてみよう!

鹿角市 図書館

「図書館は敷居が高いと思われがちですが、決してそんなことはありません。ニーズにこたえる場所、人とのつながりを作れる場所として、ぜひ気軽に活用してください」(小林館長)

花輪図書館と十和田図書館を知ることで、もっといろんな図書館が気になってきたのも事実。これからは、観光地へ行ったら図書館めぐりもいいかもしれない。

きっとその土地それぞれの魅力あふれる図書館に出会えるはず。…ここまでの図書館はなかなか無いかもしれないけど。

鹿角へ来たらぜひ、おいしいもの・温泉・自然、それに図書館も加えてみてほしい。タイミングが良ければ、面白いイベントに出会えることも!

地元の方も、今年も面白い企画が目白押しな鹿角市立図書館の最新情報をチェックしよう。

⇒鹿角市立図書館の公式サイトはこちら

【この記事を書いたライター】

スコップ編集部

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